90年代を賑わせたスポーツカーの馬力が280psだった理由とは?かつての馬力規制の謎に迫る

 
スカイラインGT-R、スープラ、RX-7など、90年代に発売された国産スポーツカーの馬力の上限が280psになっている理由をご存知でしょうか?日本の技術であれば馬力を上げることは簡単なはずですが、どの車を見てもカタログ表記は280ps以下になっています。今回は、かつての馬力規制についてご紹介します。

現在の高出力車の馬力

現在、街中を走っているスポーツカーはどれも馬力のある車ばかりです。最近ではスポーツカーに留まらず、セダンタイプやミニバンなども馬力の高い車が登場しています。

現行の主な国産スポーツカーの馬力

日産「GT-R」(DBA-R35) 570ps
ホンダ「NSX」(CAA-NC1) 507ps
スバル「WRX STI」(CBA-VAB) 308ps
トヨタ「クラウン アスリート」(DBA-GRS214) 315ps
トヨタ「アルファード」(DBA-GGH30W) 280ps
日産「GT-R NISMO」(DBA-R35) 600ps

どの車種をみても馬力が高い車ばかりです。ただ、それだけ安全技術も向上していることも間違いないですね。では、なぜ90年代に馬力の上限が280psだったのでしょうか。その経緯を振り返ります。

馬力の上限が280psになったのは”第二次交通戦争”が影響していた

交通事故統計 01

各メーカーがこぞって高出力車の開発を競い合っていた1980年代。DOHCエンジンの導入やターボチャージャー、スーパーチャージャーのような過給機を搭載したことにより、馬力が大きく向上し始めていました。しかし、この当時は交通事故による死亡者数が1万人を超え、深刻な社会問題となっていた時代でもあります。そこで、当時の運輸省(現:国土交通省)が、日本自動車工業会に「過度な馬力はスピード違反や死亡事故を増加させる恐れがある」として、高出力車の製造を控えるように要請します。
そして、1989年7月に登場した日産「フェアレディZ(Z32)」の最高馬力である280psに合わせることになり、ここから馬力規制が実施されます。その後、ホンダ「NSX」(NA#)やトヨタ「スープラ」(JZA80)なども発売されましたが、どの車も馬力は280psもしくはそれ以下に制限されることを余儀なくされていました。実際のところは、280psまで馬力を抑えることが出来なかった車も多く、カタログ表記のみ“280ps”になっていたそうです。
実際に吸排気のチューニングをおこなうだけで、350psやそれ以上の出力を出す車もありましたが、それだけ出力を“あえて”抑えて販売していたということです。

フェアレディZ 01

画像出典:flickr

馬力規制が当てはまらない車とは?

輸出 01

画像出典:postandcourier

この馬力規制の問題は、国内で発売される国内モデルのみに適用される為、海外で作られた車には適用されませんでした。そのため、海外からは280psを超える輸入車が次々と日本で発売され、国産メーカーが発売した高級車は、徐々に輸入車に比べて不利な現状になってきました。また、日本自動車工業会に属さない「NISMO」や「STI」といったメーカー公式チューナーは、馬力規制を受けることなく高出力車を発売し続けていました。さらに、海外に国産車を輸出する際にも馬力規制は適用されず、本来のパフォーマンスで発売されていたそうです。

馬力規制の撤廃〜初の280ps越えはホンダ「レジェンド」〜

当初の予定では3年間程で撤廃されるはずでしたが、その後も交通事故による死亡者数は下がらず、約15年間にわたり馬力規制は続きました。また、輸入車よりも不利な現状になってからは「”馬力が高いから事故率が上がる”というのは間違いなのでは?馬力のない車でも事故は発生する」という様な意見が相次いで出てきました。こうして撤廃を求める声が高まり、2004年6月に馬力規制が撤廃。その後、最初に280psを超えた車はホンダ「レジェンド」(KB1)で、モデルチェンジの際に300psの馬力を持つ3.5Lエンジンを搭載しました。以後、国産メーカーは次々に300psを超える車を発売していくことになります。

ホンダ レジェンド 01

画像出典:HONDA

まとめ

今考えてみれば、馬力を抑えたところで交通事故の件数は変わらないのでは?と疑問を持ちます。しかし、過去に馬力規制があり、各メーカーが車社会をより安全にしていく為におこなった研究や開発があったからこそ、現在では馬力が高い車も安全に公道を走れています。

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